蜂のアトリエ~養蜂日誌~

おいしい百花蜜はいかがですか?季節の味と香りを楽しんでください。

モブ女王、その後。

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現在5月半ば。私はブログを書いていませんでしたが、さぼっていたわけではありません!あれやこれや危惧して心配して沈んでみたり、喜んでみたり、ぬかよろこびだったり…ぜんぶ蜜蜂のことです、もちろん!

蜜蜂の事で頭がいっぱいの春!

え~まずは前回3月の記事の続き。ビワの木の下で飼っている群の話。

群に2匹の女王がいる!➡1匹になった!➡あれ、なんか王台が5つあるけど?

・・・からの顛末をお話いたしましょう。

 


その前に、王台とは?それは女王蜂が育てられる特別なお部屋のこと。普通の働き蜂は六角形のお部屋の中で、女王蜂は上の写真のように筒状の特別室で育まれます。

 


現在の女王が元気に産卵活動中なのに、新しく女王蜂が作られているという状況は、「分蜂が行われる」ことを意味します。春になって蜜源に困らない花盛り、どんどん仲間を増やしても大丈夫!と、冬季産卵をセーブしていた女王蜂は、毎日卵をどんどん産みつけていきます。そうして卵から孵化して、巣箱いっぱい仲間が増えてくると行われるのが、分蜂=巣分かれ。ミツバチが一族を繁栄させるための行動です。新しい女王が王台の中で育つと、旧女王はその群の半数以上の働きバチ連れてて今まで暮らしていた巣箱を出てゆきます。←これが「自然分蜂」です。

さて、私が試みようとしている「人口分蜂」。日時が確定されない「自然分蜂」では、その群がどこかへ飛んで行ってしまうことがあるので、分蜂が起きる前に人間が群を分けて新しい巣箱に収納してしまおうという技です。記録によると、この群は3月半ばの時点で巣枠3,4枚分(巣箱の半分に満たない状態)至極少数。冬越しから蜂の数が回復していないのに分蜂する気かい?2郡に分けたらそれぞれ巣枠2枚の群になっちゃうけど…へ、平気なん?

 

壊されかけてた王台を開けてみた

 

しかし、ミツバチたちに分蜂する気はなかったようで…。5つの王台を造って育てては壊し、壊してはまた作り、新女王になる幼虫を育て、でもいつの間にか撤去してしまう…。この行動を今日(5月半ば)までずっと繰り返し続いているのです。いったい何が気に入らないのか?世の中は4月半ばから分蜂シーズンだというのに、貴女達ときたら…( ;∀;) ①今年の冬は寒かったので、回復に時間がかかっている。②壊してしまった王台の造営や新女王の養育は、自分たちの「ベストな時」までの練習である。③え、もしかして具合悪いの?病気?ひよっこ養蜂家なりに理由を3つ考えてみました。

 

 

 

①は確かにその通りで、今年の当地での冬は例年より厳しかったです。ヨモギの芽生えも約1月遅かったし、何しろヤギの冬毛がいまだに抜けきらないのです。1月ごろのヤギたちの写真と今を見比べるとまるで別人のようなもっさり感。例年の冬毛とはボリュームが違う!そう、大きなヤギだっていつもより増毛するほど今年の冬は寒かったのでのです!ならば、小さき虫たちのダメージたるや相当ではなかろうか?春支度に時間がかかるのは当たり前ではなかろうか?というのが、分蜂がいまだにない理由の1つ。

そして②について。世の中が春を迎えたのはわかっている。ミツバチもいそいそと新しい女王を育てる準備をしてしまう。だけど蜂の数がまだ足りない!気温10度以下になる日もたまにやってくる!そうすると、ああ、分蜂適期は今じゃないんだなあと王台を壊してしまう。こんな内部事情が想像できます。

③の病気説、これは危惧だけで終わりました。まだ3月後半4月の頭には、オス蜂のさなぎが捨てられることがよくあったのです。何か異常があるんじゃないかと観察しましたが、そもそも働きバチの数が揃わない内は大勢のオス蜂の世話はしきれない(オス蜂は働きバチから餌をもらう)。よって巣内の均衡を保つために捨てるということがあるようなのです。

はあ、この群の教科書通りではない行動は、一応、自分の中では納得できたものとします(笑)。

さて、5月半ば現在、働きバチのメスも大勢が大活躍、オス蜂もたくさん育ち、蜂蜜もたっぷり貯蔵できています!そして実はまた王台が2つ育っています。気温もOK、蜂の数も巣箱いっぱいまで増えたのでOK。状況はいいはずなので、今度こそ分蜂できるかしら?ゆっくり見守ってゆきたいと思います。採蜜は後回し!蜂のアトリエは群の繁栄を優先します!

 

ちなみに、一番上の画像の左下のヘドロみたいなのは、環境破壊&景観汚しの権化みたいばものです。ミツバチの敵はもれなく私の敵!ミツバチの数が減る昨今、農業維持のためにも、虫にやさしい土壌にやさしい仕事をしましょう。